分割型コンパクトテラヘルツ加速器(STEAM)による超短電子パルス発生

DESYのCFEL研究グループは加速、圧縮、集束、診断の機能を持つ分割型多機能電子加速器(STEAM)の開発に成功した(Zhang et al., Nature Photonics online Apr. 02, 2018)。この加速器は共通の赤外レーザーパルスを分割し、超短電子バンチを形成して加速に用いることで、極めて高いタイミング精度を有している。

 

STEAMの原理

分割されたレーザーパルスはそれぞれ異なる非線形光学結晶に導入され(下図)、波長シフトされる。電子線バンチ形成にはUV光としてフォトカソードに導かれ電子ビームが取り出される。テラヘルツ帯に波長シフトされるSTEAMとの時間誤差は同一のレーザーパルスから切り出すためタイミングが保証され光路差分しか時差が生じない点が特徴である。

そのため電子バンチがテラヘルツ波のどの部分に衝突するかを正確に制御できる。電子バンチと電場と相互作用するタイミングを変化させることで、電子を加速したり、集束もしくは発散させたり、場合によっては1:10まで圧縮したりすることが可能である。

さらにSTEAMはストリーキングによって、電子ビームの診断も行うことができる(下図)。

 

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Credit: Nature Photonics

 

研究チームは超短電子バンチの6次元位相空間上で複数の高電界加速を行うことができる分割型テラヘルツ電子加速およびマニピュレータ(STEAM)を開発した。STEAMのテラヘルツ駆動の概念は、従来のRFデバイスと比較して、フィールド強度、フィールドグラデイエント、レーザー同期、コンパクト化の桁違いの改善をもたらす。また高い充電容量(pC)、繰り返し率を維持しながら、より短い電子バンチと繰り返し周波数(kHz)および安定性が特徴である。

この装置は、数マイクロジュール、単サイクル、0.3テラヘルツのパルス駆動で、> 30keVのテラヘルツ加速、10fs未満の解像度でストリーキング、> 2kT m-1強度の集束、~100fsまでのパルス圧縮の動作モードの実時間の切り替えが可能である。

 

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Credit: Nature Photonics

 

STEAMで、テラヘルツベースの電子加速器、マニピュレータ、および診断ツールが大きく進展するものと期待されている。

 

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Nature Photonics

 

加速器のコンパクト化は急速に進みつつある印象をもつ。レーザーの歴史を再現するかのようだ。いつか実験室で研究者は超短パルス電子バンチをつくりだし、高分解能時間分解測定もやがてルーチン化するかもしれない。

同様に数km必要だった直線加速器もやがては一つの部屋に収まる日が来るかもしれない。

 

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