LHCが4年目となる13TeV運転を開始

加速器のライフサイクルは一般に考えられているよりはるかに長い。ひとつつには建設当初の性能をアップグレードして、多くはエネルギー上限かルミノシテイの向上でさらに成果を上げるためである。たとえ当初の目論見どおりの成果を挙げることができなくても、第2、第3の道を歩む中で成果が生まれることは珍しくない。

 

しかし幸運にも初志を遂げたLHCは13TeVにアップグレードして4年目の今年もまた安定に陽子ビームが周りだし、膨大な衝突実験データを生み出そうとしている。類い稀な幸運を持った加速器と言えるLHCは、3月30日12:17に2018年度の13TeV衝突実験準備を終えた。3月はじめにLinac2は陽子ビームの加速に成功しPSブースター、PSへと陽子ビームが供給された。

 

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Credit: CERN

 

今後、調整の後で5月から増強されたルミノシテイ(〜60fb-1)で新しい衝突実験が予定されている。なおCERNの新年度実験はこれより早く、n_TOF、ISOLDE、反陽子実験は4月から開始が予定されている。

こうしてみると順風満帆なように見えるLHCだが、EUから英国が脱離したことによる科学技術予算への影響やEU自身の財政の悪化の影響は避けられない。下図はCERNの公表したものだが、国際協力の資金抜きには成り立たない。LHCの次世代プロジェクトも含めて今後の加速器建設のハードルは一層高まるだろう。一足早く国境が消滅した加速噐の世界が国際協力という「賢者の財布」をどう使うのかが注目されている。

 

LHCは2018年度に13TeV衝突実験を終了したのちに、2年間にわたり長期シャットダウン(LS)に入る。2018年度の実験予定は早期に開始したいのはそのためである。シャットダウンが前倒しになり、作業が順調にいけば2020年から実験が開始できる可能性もある。

 

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Credit: Mark Neubauer 

 

注目されるのは長期シャットダウンごのルミノシテイが350fb-1となることだが、そのまた先に長期シャットダウンがあり、HiLumi LHCで最終的には3000fb-1となる(下図)。それで終わりではない。4回目のシャットダウンを経てなんと2035年まで運転が計画されている。LHCは歴史上、最高寿命の長い加速器となるのだろう。

 

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Credit: CERN

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