オペランド計測で明らかになったCO2還元のメカニズム

地球の環境保護の観点からみて、理想的なエネルギー源となる燃料電池の課題は水素インフラ(水素製造と輸送)整備とされている。一方、水素がインフラが整えば、CO2を還元して化学製品の原料や燃料に転換する水素の第2の使い道がある。再生可能エネルギーを水素に転換すれば電力もCO2削減も同時に可能になる。

 

CO2の水素還元には反応促進効率の高い触媒が必要になる。ユトレヒト大学の研究グループは1-7nmの粒径のNiナノ粒子の還元反応メカニズムを原子レベルで調べ、理想的な粒径が2.5nmであることを見出した(Vogt et al., Nature Chem. online Jan. 29, 2018)。

CO2が水素で還元されてメタンが生成されるメカニズムは下図(反応経路1(左),反応径路2(右))に示す最表面原子層の模式図のように、Ni原子に常に配位している。

 

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Credit: Nature Chem.

 

粒径が1-7nmのNiナノ粒子について反応収率を比較した結果、最適な粒径が存在することがわかった。反応過程の原子配置はオペランドFT-IRとX線吸収分光(XAS)で調べられた。ここでは粒径が1-7nmのNiナノ粒子についてのオペランドQ-XASの測定結果を下図(上段は粒径の数値)示してある。還元反応はCO2とH2ガスジェットを100s間照射と30sのN2パルスを交互に行ないながら実時間測定を行なった。

 

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Credit: Nature Chem.

XASで得た金属状態のNi濃度の時間変化(中段)の一部を拡大して下段に比較してある。触媒C(粒径1.2nm)と触媒F(粒径2.1nm)を比較すると、粒径が増大すると還元ごの再酸化反応が2段階で進むことがわかる。これは粒径が増えると反応径路2のようにNi原子に酸素が配位した配置をとる率が多く、収率を低下させると推測される。

反応収率は粒径とともに増大する一方で、電荷を持った表面種の脱離が妨げられるため最適粒径が存在することになる。この研究ではオペランドFT-IRによるC-O伸縮振動状態の知見とオペランドNi Q-XASによるNi価数の知見を組み合わせることで、CO2還元メカニズムの詳細が明らかになった。

 

放射光を用いたオペランド計測は触媒反応のメカニズム研究の標準的なツールとなっている。しかし表面種のキャラクタリゼーションにはSTEMやFTIR、ラマンといった補助的な分析手法で情報量を増やすことが重要である。そのため放射光施設ではXAS-IRやXAS-Raman同時測定のできる計測システムを備えるビームラインが増えている。

 

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