衝撃波で六方晶ダイアモンドを合成〜APS放射光の実時間観測

ダイアモンドをグラファイトから合成する手法はこれまで、多くの研究者が挑戦してきたが、このほどワシントン大学の研究グループが、初めて隕石衝突により生成される希少なダイアモンド、六方晶ダイアモンドの合成に成功した。

 

ロンズデーライトと呼ばれる六方晶ダイアモンドは通常のダイアモンドと異なり、グラファイトを含む隕石が地球に生成した際にできたと考えられている。研究グループはアリゾナのクレーターでロンズデーライトが発見されて以来、合成に必要な極端条件を調べていた。

研究グループは高配向グラファイトから衝撃波圧縮(下図)によって、六方晶ダイアモンドを合成することに初めて成功した(Turneaure et al., Science Adv. 3, eaao3561, 2017)。実験は放射光施設APSに設置されている衝撃波高圧発生装置を用いて行われた。Dynamic Compression Sector(DCS)と呼ばれるこの装置は放射光施設に併設される初めてのシステムとなる。

 

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Credit: Science Adv.

 

グラファイトから六方晶ダイアモンドが形成されるまでの結晶構造の変化は放射光を用いて追跡された(下図)。研究グループのリーダーであるグプタ教授は世界的な高圧物理学者として知られる。六方晶ダイアモンドへの転移に必要な条件は50万気圧でこれまでの研究の予想より1/4であった。

 

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Credit: Science Adv.

実験ではLiFを時速11,000マイルで2mm厚のグラファイトデイスクに衝突させる。この過程で回折パターンを放射光パルスによりスナップショット撮影した。相転移現象の実時間観測は放射光のパルス特性の恩恵で、今後の高圧物理研究のみならず多くの分野で、強力な研究ツールとなる。

 

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Credit: Washington State Univ.

 

放射光に高圧発生装置を持ち込むのは日本のおハコであった。PFのMAX80、MAX90は80-90年代に真価を発揮した。今回の実験で使われたのは23keVX線で、この波長の高輝度ビームは現在、3GeV放射光が最も得意とする領域で光源の進展でコヒーレントな短パルスビームが利用できるようになれば、非結晶、溶液の構造転移の時間領域情報が得られる日も近い。

 

 

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