ペタワットレーザーによる大強度γ線発生

スエーデンのチャルマース工科大学の研究グループは大出力レーザーで効率よく高強度γ線を発生させる技術を開発した(Gonoskov et al., Phys. Rev. X 7, 041003, 2017)。

 

大出力レーザーで得られる極端条件下では原子核の物理現象が実現できる。一般にはレーザー光は物質に照射されると散乱されるが、大出力レーザーパルスで特定条件で物質粒子がレーザー光の電磁場に「捕獲」される。粒子を閉じ込めた空間では粒子と反粒子が生成され、レーザーのエネルギーがγ線に変換される(双極子カスケード)。下図で12個のレーザーパルスと放物面ミラーを、それぞれ濃い茶色と薄い茶色で模式的に示してある。

 

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Credit: Phys. Rev. Lett. (Creative Commons Attribution 4.0 International)

 

計算では7PW程度のレーザー光を用いれば新原理でγ線を発生させることができるが、40PWの出力ではGeV領域の短パルス(3fs)γ線の輝度は9x1024phs-1mrad-2mm-2/0.1%BWが得られる。これによってXFELの可能なエネルギー上限は大幅に拡張され1GeVγ線の超高輝度光源が実用化することになる。

 

下図は全パワー40PWの15fsパルス12個がつくる双極子場と発生するγ線バンチの3Dシミュレーション。

 

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Credit: Phys. Rev. Lett. (Creative Commons Attribution 4.0 International)

この発見は現在建設が進んでいるペタワット級の大出力レーザー施設、例えばELIやロシアのエクサワットレーザー研究施設(ELSR)、が高強度γ線発生源として利用出来ることを意味している。

またこれまで核物理ではエネルギー利用は核分裂、核融合が中心であったが、これとは別のエネルギー利用が可能な新物理現象が発見される可能性が秘められていることを研究グループは強調している。

 

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Credit: Phys. Rev. Lett. (Creative Commons Attribution 4.0 International)

 

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