ガンマ線バーストの起源は放射光

テイデ天文台のロボット望遠鏡システム(MASTER-IAC)によって、ガンマ線バーストの謎とされていた起源と宇宙最大規模の爆発後の巨大な粒子流とエネルギーの行方が明らかになりつつある(Troja et al., Nature 547, 425, 2017)。

 

宇宙で最大規模の事象として知られるガンマ線バースト(GRB)は、数ミリ秒から1分程度の短いタイムフレーム現象であるため、これまで爆発の機会をとらえて直接的な観測が困難であった。テネレーフ諸島のテイデ天文台にモスクワ大学が設置したロボット望遠鏡システム(下の写真)を用いて、メリーランド大学を中心とする研究チームがGRB160625Bと呼ばれるガンマ線バーストの直接観察に成功した。

 

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Credit: Daniel Padrón / IAC

 

ガンマ線バーストは太陽の約50倍もの質量を持つ恒星の爆発によるもので、その規模はビッグバンに次ぐものとされる。数秒で太陽の一生で放出するエネルギーと同等のエネルギーが放出される。今回の観測でこれまで知られていなかった恒星が爆発してブラックホールが形成される瞬間がとらえられた。

最初にブラックホールによってできた強力な磁場が高エネルギー粒子の流れを閉じ込めているが、磁場の崩壊によってジェット流が放出される。専門家の大半がジェット流は物質もしくは磁場に強く依存すると考えており、どちらか一方に依存するとみていた。

 

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Credit: Nature

 

しかし今回の研究で初めて両方がジェット放出に寄与していることが明らかとなった。NASAのフェルミ衛星がガンマ線を検出して数秒後、ロボット望遠鏡は可視領域に高エネルギー事象(GBR)を計測し始める。望遠鏡では放出される電磁波の偏光方向を測定することができるため、発生起源を詳しく知ることができるという。

研究グループは将来的にはラパルマ天文台に設置予定のCTA(Cherenkov Telescope Array)(注1)でブラックホール形成とガンマ線バーストの関係をより詳しく観測することができると期待している。

(注1)Cherenkov Telescope Array(CTA)計画は、 100台近くの解像型大気チェレンコフ望遠鏡を 3-10 km2の領域に敷き詰めた、大規模なTeVガンマ線天文台を南半球と北半球に建設し、 現在の望遠鏡の10倍深い感度で、エネルギー領域を20 GeVから100 TeV領域(現在稼働中のものは約100 GeV から約10 TeV)までカバーする国際共同実験計画

 

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Credit: CTA

 

この研究によって、初期に観測される高輝度発光は放射光発生によるものであることがわかった。これまで黒体放射か逆コンプトン効果のいずれかが発生メカニズムであると考えられていたが、偏光特性は放射光のみが持つ性質であるため、起源は放射光以外ではないことが明らかになった。

過去10数年にわたって起源が議論されてきたガンマ線バーストに可視領域の偏光特性の観測でようやく決着がついたことになる。放射光の発生メカニズムとガンマ線バーストの関係が明らかになると考えられている。今後の研究は磁場との関連を調べてガンマ線バーストの全貌を明らかにすることが課題となる。

 

宇宙における放射光はかに星雲やパルサーに関連して、重要な研究テーマであったがガンマ線バーストのメカニズムとして新たに宇宙の起源、恒星の一生、ブラックホール形成の観点で重要な課題となった。

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