古細菌で明らかになるDNAフォールデイングの起源

放射線で癌細胞が死滅するのは、正常細胞に比べて成長が早いためにDNAがアンフォールデイング状態にある確率が高いためとされている。古細菌のDNAに結合している蛋白質の3D構造を精密に調べたコロラド州立大学研究グループの研究が、より複雑な生物のDNAのフォールデイング(折りたたまれた状態)との類似性を見出した(Mattiroli et al., Science 357, 609, 2017))。

 

この研究の結果はDNAフォールデイング進化の過程解明につながる手がかりとなるとみられている。分類学上は古細菌は大きな3つに分けられた一つを真核生物や細菌とともに代表する生物として知られる。またDNAを折りたたむメカニズムを持つ生物としては最古のものを含むと考えられている。

 

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Credit: Science

 

古細菌の細胞は魚類から樹木、さらにはヒトに至る広範囲の生物と同じDNA折りたたみ機構を持っている。DNA鎖はヒストン蛋白質8量体の周囲に折りたたまれヌクレオソーム(注1)を形成する。

(注1)4種のコアヒストン(H2A、H2B、H3、H4)から構成されるヒストン8量体に146 bpの2重鎖DNAが巻き付いた基本構造をとる。もし全ての古細菌のDNA折りたたみ機構が同じであるならば、他のより複雑な生物はその進化の過程で形成されたと考えられる。その共通の祖先が古細菌ということになる可能性が出てきた。

 

これまでにも古細菌のヒストン蛋白質に注目した研究は報告されているが細胞が核を持たないものでその役割がはっきりしなかった。研究グループは学名メタノテルムス属古細菌ヒストン蛋白DNA複合体の結晶成長を試み、X線構造解析で3D構造を決定した。その結果、古細菌のDNA折りたたみ機構が真核生物のヌクレオソームと同じであることを見出した。

研究グループはDNA鎖のスーパーヘリックスと干渉する塩基配列に変異を導入すると、展開に障害が起こりやすくDNAの機能発現に支障が出ることもわかった。そのため古細菌は真核生物のヌクレオソームのDNAアンフォルデイング基本的に同一のものであることがわかった。

 

 

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