Super LHCの一翼を担うLinac4の完成

現状のLHCは重心系運動エネルギー14TeV、最大ルミノシテイ1034 cm-2s-1で運転されている。周長27kmの世界最大の円形加速器としてエネルギーフロンテイアに君臨してきた。Super LHC(sLHC)は加速器の多くが初期の目標をクリアするとアップグレードで高ルミノシテイ実験によって精密化を目指すようにLHCのアップグレード版となる。

 

 

アップグレードでルミノシテイ10倍を目指すsLHC

ルミノシテイの向上は10倍を目指しているが、そのためにはいくつかの加速器をアップグレードした相乗効果が必要となる。アップグレードのための作業は2013-2018年に予定されている。

Phase1と呼ばれる最初の主な改良作業は稼働開始が1978年と39年前の加速器である入射器(Linac2)を新型のLinac4に更新すること、衝突実験付近低いb*化(ルミノシテイ2倍向上に相当)、ATLAS、CMS検出器周りの改良となる。

注目されるLinac4アップグレード計画はLinac2の50MeV陽子入射系でのルミノシテイロスで、これには正電荷を持つ陽子の代わりに負電荷を持つH-を使うことで対処することにした。H-は加速されてブースターに入射され、その際に電荷交換という手法で余分な電子を剥ぎ取る。

このためルミノシテイロスが抑えられ、5倍輝度が上がるので、衝突実験のb*と相乗効果では10倍の輝度向上となる。またこのため直線加速器のエネルギーも増大させる必要があるため、Linac4は160MeV加速器となる。Linac2との交換は試運転後5年間で行われる。

 

LHC-Beams2

Credit: CERN

 

図中のPSは、Proton Synchrotron、SPSはSuper Proton Synchrotron、SPLはSuperconducting Proton Linacの略。

 

加速器を支えるのは高性能永久磁石

Linac4には加速器の先端技術が使われている。注目される技術が8極永久電磁石(Permanent Magnet Quadrapoles, PMQ)である。(下図参照)Linac4の一部で最大50MeVまで加速される直線加速器では電磁石が用いられていたが、永久磁石材料の進歩で強力な磁場が使えるようになて、安定性の高い永久磁石で多極磁石を製作できるようになった。実は永久磁石の発展には日本の寄与が大きい。SACLAなどXFELや放射光挿入光源用のアンジュレーターの開発に歩調を合わせたかのようなネオジウム磁石の開発あってことである。

 

permanent teaser

Credit: acceleratingnews.web.cern.ch

CERNの凄いところはこの永久磁石をホームメードで製作してしまう研究支援の底力。一部の技術者はスピンオフ企業を立ち上げている。研究所内に工場を置くと雇用経費が予算を圧迫するが、こうした企業化が可能なkオンポーネントを自作できれば、スピンオフ企業を通して利益を上げることも可能だ。

またSPLを支えるのは言うまでもなくでは超伝導空洞技術である。超伝導空洞を含むSPLの詳しいに資料は公開されているので、参照していただきたい。

CERNの高ルミノシテイ化は複数の加速器技術の相乗効果である。加速器の寿命は計画的なアップグレードで引き伸ばせることを示している。SLACのSPEARは多くの成果を出し、世界で最もコスパの高い施設とされるが、sLHCはもしかするとその座を奪うことになるかもしれない。これも国際共同という枠組みで世界中の加速器研究者が協力していることの成果であると同時に、日本の加速技術と磁石の開発が基盤となっていることをもっと国際的にアピールしても良いように思える。

 

 

 

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