アメリカ留学を目指すあなたへ〜SLAC・スタンフォード大学滞在記 Part1〜

 私は2011年の夏から2014年の3月までの3年弱の間、アメリカ合衆国・カリフォルニア州にあるSLAC国立加速器研究所およびスタンフォード大学に、ポスドク研究員として赴任する機会を得ました。向こうでの生活、研究所/大学の様子や感想について、紹介させていただければと思います。

 

 まず、私がなぜSLAC/スタンフォード大にポスドクとして赴任することになったかについてですが、これはおそらくかなり稀なケースに分類されるかと思います。博士課程修了後、日本学術振興会の特別研究員としての採用期間が残っていたため、そのまま博士過程を過ごした研究室のポスドクとして1年間在籍していました。その後、任期満了が近づき、学生時代を含めると4年間同じ研究室に在籍しておりましたので、そろそろ外が見たいと考え、他の研究室に異動することにしました。これまで放射光を用いた計測と薄膜作製の両方を行っていたのですが、もう少し薄膜作製のスキルと物性評価技術を磨きたいと思い、移動先として、東京大学大学院新領域創成科学研究科に所属しておられたHarold Hwang教授の研究室(当時)に決めました。意気揚々と着任した翌日に開かれた臨時グループミーティングで、「Hwang教授がスタンフォード大学の教授として転出するので、研究室まるごと(=人も装置も)移動する。」という衝撃的なカミングアウトを受けました。戸惑いも多少はありましたが、以前から海外に対する漠然としたあこがれもありましたので、そこは即断即決、妻には帰ってから承諾を取ればいい、と勝手に判断し、Hwang教授とともにスタンフォードに移動することになりました。帰宅後、嫌な顔一つせず快諾してくれた妻には感謝しています。

 

 さて、いよいよ研究室の引っ越し+スタンフォード大での立ち上げということになるわけですが、当時の研究室には、成膜装置やレーザー、評価装置などを動かした経験があるメンバーがHwang先生以外いませんでした(Hwang先生はアメリカのBell研究所から新領域に異動された経歴があります)。一方私は、博士課程学生時代には主に高エネ研のフォトンファクトリーのビームラインで研究活動を行っておりましたので、装置の移設作業は手慣れており、柏からスタンフォードへの引っ越し(主に実動部隊)では、遺憾なくリーダシップを発揮できたと自負しています。8月の頭にJ-1 Visaが発給され、そこから一週間も経たないうちに渡米しました。スタンフォード大学へ行くためには、サンフランシスコ国際空港から乗り合いバスに乗るか、鉄道を乗り継いで行くかの2つの方法があります。このとき私と妻は鉄道を選択しました。Caltrainという鉄道のPalo Alto駅に着くと、スタンフォード大学が運営している無料のシャトルバス(Marguerite)があります。広い大学内のいろいろな箇所にバス停があるため、非常に便利でした。

 

 アメリカで生活を開始するためには、いわゆる納税者番号に相当するSocial Security Number(SSN)と、連絡がとれる電話番号(携帯電話など)の取得から始まります。この2つが無いと、ありとあらゆる契約が滞ります。携帯電話の契約は基本的にはSSNが無いとできないのですが、プリペイド型携帯ならば可能です。SSNが無くても契約できる日本の会社などもオススメです。SSNはアメリカに入国してから2週間程度の後、Social Security Officeに入国情報がようやく反映されるため、その後に申請に行かなくてはなりません。SSNさえ取得してしまえば、あとはいろいろな契約ができるようになります。

 SSNを取らなければできないもう一つ重要なこととして、運転免許の取得があります。アメリカでは州によってルールが違うのですが、私が生活していたカリフォルニア州では、"旅行者"は国際免許の期限(1年間)に則って運転できますが、"滞在者"(アメリカで居を構える場合)は、この国際免許はわずか10日間で失効します。つまり、日本で発行した国際免許を持っていても、入国後10日からSSNが発行されるまでの間(申請可能日まで2週間、そこから発行まで早くても2週間)は、車を運転できないということになってしまいます。万が一、この期間に運転してしまい、警察に捕まってしまうと、無免許運転となってしまうので注意が必要です。運転免許の申請および試験自体は簡単で、電話あるいはDepartment of Motor Vehicles(DMV、いわゆる陸運局)にて予約をした後、受験するだけです。この辺りは詳しいホームページなどもありますので、そちらを参考にされると良いでしょう。

 

 食生活は、基本的に不自由無く過ごせたと思います。学会などの短期の場合は、日本食のレストランがあるかな?といったような、外食に関して興味をもたれるかと思いますが、さすがにアメリカで生活をするとなると毎日外食という訳にもいきませんので、基本的には自炊(*しかし筆者は何もしていない)、ということになります。その意味では、どういった食材が手に入るのか?ということに興味が移るわけですが、野菜も肉も魚介類も、日本で食べているものとほとんど同じ物を手に入れることができます。日系のスーパーは高いのであまりオススメできませんが、中華系のスーパーや韓国系のスーパーは安く、日本と同じ食材・調味料を買うことができます。

 ただ、もちろんそういうお店に行くにはフリーウェイで40分〜1時間行かなくてはなりませんので、車が必須です。ただし、昨今の日本食ブームのためか、アメリカのスーパーマーケットでもAsianコーナーが設置されており、醤油やうどん、お米やカレーのルウなども手に入れることができます。こういったものをアメリカのスーパーで購入すると、やや高いのが難点ですが、非常に便利でした(渡米直後のアメリカのスーパーで「おーいお茶」を発見した感動は忘れないでしょう。$2.50くらいしますが)。

Part2へ続く

注)本記事はPF News (32 2 (2014))からの転載です。

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