20年以内に石炭、石油、天然ガス火力を置き換える太陽光と風力発電

日本の火力依存度は8割を超えるが、安定な電力供給が続く普段の生活ではほとんどの人が疑問に思わないでいる。石油、天然ガス輸入で貿易赤字が悪化したままだが、原子力への期待はできないことを認識した以上、遅々として進まない再生可能エネルギーへの転換をひたすら待ち続けることになる。エネルギー基本政策も消極的で八方塞がりに見えるが、その一方で世界は再生可能エネルギーへの転換が(国内に比べると)驚異的な早さで進行している。

 

太陽光と風力エネルギーの電力価格低下が加速しているため、世界の化石燃料火力は20年で置き換わるとされる。一昔前は1000MWクラスの発電所は原子力の独壇場で大都市への一括電力供給に選択肢はなかった。しかし最近ではメガソーラーからギガソーラーまで大出力の太陽光発電所や風力発電パークで1GWクラスの大出力発電施設が、建設されるようになった。太陽光と風力の躍進にはクリーンコールなどの新型火力発電も霞んでしまうほどである。電力不足に悩むインドでは500-1000MWクラスのソーラーパークが続々建設されている。今後、インドは太陽光で20GWの発電能力を備える計画だという。

 

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Credit: AFP

 

火力に固執せざるを得ない日本だが、再生可能エネルギーの選択肢には驚くべき寛容さを見せる。これまで長期に渡って様々な選択肢それぞれに研究開発費と人的資産をつぎ込んできたが、世界的に見れば再生可能エネルギーの主要なプレイヤーは太陽光と風力になることは(実は)決着がついている。

 

火力を置き換える電源の条件

オーストラリアの温室ガス排気量の80%は石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料に起因するが、これは先進国に共通の事情でもある。大気中のCO2を捕獲してカーボンニュートラル燃料に変換する技術は、現在精力的に研究開発が進められている夢の技術だが、コストを考慮すれば残念ながら現実的でない。化石燃料を置き換える再生可能エネルギーに要求される項目は以下のようになる。

ユビキタスな資源基盤であること

温室効果ガスの排出量およびその他の環境への影響

豊富な資源であること

環境と住民への安全保証

現時点で大量に供給可能

 

地域的な制約は残るものの、これらの項目を全て満足できるのは太陽光と風力となる。世界の人口の大部分は35度以下の低緯度地域に集中しており、日照条件の季節依存度が少ない。また太陽光も風力も環境負荷が少なく、これらを補完的に結合することによって、より安定な電源となるが、全体としてみれば太陽光が再生可能エネルギーのメインプレイヤーとなる。

 

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Credit: phys.org

 

火力を置き換える太陽光と風力発電

一旦、戦略が決まると先進国は集中した普及政策を取る。オーストラリアの例を取ると太陽光と風力発電コストはメガワットあたり4,500-5,700円で、新規建設の火力発電コストを下回る。太陽光と風力発電コストは火力発電コストと競争できる範囲に入ったため、予測では2018年度に世界の新規発電能力の60%を占める。経済投資も火力発電全体の1,030億USドルに対して、1,610億USドルとなる。

オーストラリアでは2018年度に4.5GWの太陽光と風力発電が導入され、2030年までにピーク時の電力需要35GWの70%を占める。世界的には太陽光と風力発電は電力需要の7%だが過去5年間で世界の太陽光発電は年間28%、風力は13%増加している。化石燃料火力の成長率はほとんどないので、この成長率を持続できれば2032年までに太陽光と風力発電は火力を置き換えることになる。

 

電力事情は国や地域に依存するだろうが、世界の傾向から見ても日本の再生可能エネルギー比率は遅すぎるのではないだろうか。下図に示すようにドイツは自国の太陽光パネル生産がコスト低下に寄与したと主張する。その前の立役者は日本である。現在の主たる生産国は中国と台湾。今後、日本が独自技術で巻き返しを計るとしたら、バックコンタクト技術とペロブスカイトヘテロ材料が期待できる。

 

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Credit: energytransition

 

もちろん太陽光も風力もエネルギー貯蔵技術と抱き合わせる必要がある。水素の出番がやがて来るだろうが、やはり並行して再生可能エネルギーの比率を計画的に増やしていくことが、重要なのではないだろうか。ここで紹介した太陽光、風力発電が化石燃料過料を置き換えるというのは、ドイツやオーストラリアなど再生可能エネルギーに軸足を写しつつある国の場合で、世界統計を客観的にみたEIAの予想は石炭、石油、天然ガスの火力比率は成長が鈍るが、そのまま残る多様な電源比率となる。

 

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 Credit: EIA

 

しかしそれでも2015年あたりを契機として、再生可能エネルギーシフトという大きな流れが明確になる。2030-2040年に向けて地道なこのシフトの仲間に入るか、火力に固執する政策を維持するのか、その選択が迫られていることは間違いない。

 

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