鉛フリーの新型ペロブスカイト太陽電池CsTi(IV)Br

効率が20%を越えてシリコンに肉薄している太陽電池材料ペロブスカイトは低コストであるため、製造コストで普及が進まないシリコン太陽電池に置き換わると期待されている。しかし環境保全の観点から多くのペロブスカイト材料が鉛を含むことが難点とされてきた。ブラウン大学の研究チームは鉛を含まない新型ペロブスカイト(Cs2TiBr6 )太陽電池を開発した(Chen et al., Joule online Feb. 13, 2018)(注1)。

(注1)Jouleは新しい雑誌で有名なCellの姉妹誌。

 

この材料は鉛の代わりに豊富な資源であるTiを使用するが、薄膜化が容易で実用材料としてポテンシャルが高い。ペロブスカイトは1986年の高温超伝導体の発見で一躍有名になった。太陽電池材料への応用は2009年と比較的新しいが、有機ハイブリッドペロブスカイト材料はスピントロニクス材料として、注目されている結晶である。

ペロブスカイト太陽電池は当初は効率がわずか4%であったが、その後急速に伸びて現在は23%に達した。エネルギー変換効率ではシリコン同等となったがコストが低炒め実用材料として、本格的な太陽光パネルの普及の鍵となると期待されている。ペロブスカイト構造の有利な点は複雑な組成でも中心金属は8面体の結晶場に置かれ、新しい結晶構造でも電子状態が容易に計算できることである。下図は鉛を含む代表的なペロブスカイト太陽電池の構造。

 

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Credit: J. Mat. Chem. A

 

Cs2TiBr6 

ペロブスカイト太陽電池材料の開発課題の一つは鉛を含まない材料を見つけることだった。研究チームは計算機シミュレーションを用いてCs、Ti、ハロゲンからなる構造(Cs2TiBr6 )が適していることを突き止め、結晶合成を試みた。作製された薄膜結晶は透明でタンデム接続に最適な起電力1.8Vを有している。エネルギー変換効率は3.3%と鉛を含む材料に及ばないが、タンデム接続でのセル製造に適した材料となる。さらに効率を上げることは今後の研究課題であるが、他の鉛フリー材料の起電力が0.6Vである現在、新材料の起電力は突出しており鉛フリーペロブスカイトのタンデムセルの今後の展開が期待される。

 

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Credit: Joule 

スタンフォード大学の研究チームは129カ国を20地域に分けて最適化した2050年までに再生可能エネルギー100%を実現するためのロードマップを完成した(Jacobson et al., Renewable Energy online Feb. 3, 2018)。国や地域の特色を生かして風力、太陽光、水力などのエネルギー比率に選択肢を設けることで、2030年までに80%、2050年までに100%を再生可能エネルギーで供給することは、既存の技術で可能だとしている。

 

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