高効率水分解触媒NiFeナノフォーム

水素は再生可能エネルギーを貯蔵するのに最適であるが、鍵となる水素製造コストが高いことが本格普及の壁となっている。また水素製造過程を含めてゼロエミッションとするには、再生可能エネルギーを水素に変換することが重要である。一方、水分解による水素製造は小型水素製造ステーションで分散型の水素製造が可能となる。この場合は水素輸送インフラの必要がない。

 

ワシントン州立大学の研究チームは低コストのNiFeナノフォームを触媒とした高効率水分解(酸素・水素発生)に取り組んでいる(Fu et al., Nano Energy 44, 319, 2018)。研究チームは貴金属触媒の代わりに低コストのNi2Feを微細なスポンジ状のナノフォーム触媒が長寿命の触媒となることを見出した。1.42V(RHE)で電流密度10mA/cm2時に12時間後の性能劣化はほとんどないこと、100mA/cm2でもオーバーポテンシャルは(RuO2より0.18V低い)0.27Vと小さいことが特徴である。

 

現状では酸素発生過程(OER)で酸化状態が変化し相分離を生じるが、その制御が実用化への鍵となる。低コスト遷移金属をナノフォームとする新触媒で余剰電力を利用した水素製造の低コスト化に役立つ。

 

Fig 3 LSV curves A and B and corresponding Tafel plots C of various catalysts in 1

Credit: Nano Energy

 

このような研究ではXASから反応過程での価数情報を得るのに、オペランド測定を用いればより効率的な研究が行えるだろう。最近の放射光研究施設ではオペランドXASが使われ威力を発揮している。オペランド計測で実用的な水分解触媒が開発される日も近いと期待されている。

 

再生可能エネルギーを貯蔵可能なエネルギーに変換し貯蔵する技術は発電事業と一体で取り組むべきクリーンエネルギー経済に不可欠な課題である。再生可能エネルギーの剰余電力を水分解に用いて水素に変換して貯蔵すれば燃料電池で必要なときに電力需要に答えることができるからだ。日本では再生可能エネルギーの議論でベース電源としての不適格性に集中するが、先進国のクリーンエネルギー政策では剰余電力を水素製造に使って貯蔵する研究開発が精力的に行われている。

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