低温で動作する新型ダイレクトカーボン型燃料電池

燃料電池の鍵となるのは負極となる炭素系材料であるが、アイダホ国立研究所の研究チームは電極構造と電解質を改良したダイレクトカーボン型燃料電池(DCFC)を開発した(Wu et al., Advanced Materials online Dec. 8, 2017)。

 

新型ダイレクトカーボン型燃料電池はこれまでより低温で、高エネルギー密度で運転が可能である。プロトン交換膜を使う従来型の燃料電池や他の燃料電池に比べて、ダイレクトカーボン型燃料電池は水素以外の炭化水素燃料(石炭やコークス、タール、バイオマス、有機廃棄物)を燃料とすることができるのが特徴である。

ダイレクトカーボン型燃料電池は炭素と酸素を結合し発電する。水素燃料型と異なり反応後CO2を排出するが、CO2は内燃機関より回収しやすく、化石燃料の燃焼に比べて同じエネルギーをより少ない炭素で供給できる環境に優しい(下図)。

 

highlight HDCFC

Credit: dcfc.wp.st-andrews.ac.uk

 

水素製造と輸送インフラの整備は時間・コストの点で経済的負担が大きいが、既存の燃料から発電できれば、CO2排気せずに化石燃料を使い切ることができる。これまでのダイレクトカーボン型燃料電池は700-900度Cと動作温度が高いことが欠点でそのためにエネルギー効率と耐久性に問題があった。

研究チームは電解質としてGdドープしたセリウム酸化物とNa炭酸塩(Gd:CeO2–Li/Na2CO3)、陽極に Sm0.5Sr0.5CoO3を採用した。また表面積を3Dナノ構造で増大したセラミック負極を用い、600度C以下で動作するダイレクトカーボン型燃料電池の開発に成功した。また燃料電池動作温度で溶融し流動性を持つ炭素と炭酸塩の混合燃料で動作することを確認した。

 

新型の燃料電池は動作温度が500、550、600度くCで最大エネルギー密度がそれぞれ143、196、325mWとなる。500度Cではエネルギー密度0.13Wcm-2、電流密度0.15Acm-2で連続動作が可能である。また電池全体の炭素使用率は85.5%となる。

 

Unbenannt 1

Credit: Advanced Materials

 

水素を燃料とする燃料電池はCO2排出からみて理想的ではあるが、化石燃料の有効利用とカーボンキャプチャしやすいダイレクトカーボン型燃料電池は動作温度が下がり実用に一歩千和いた。研究チームの開発した燃料電池は企業が実用化に向けてパートナーシップでR&Dを加速する。

アイダホ国立研究所(INL)はエネルギー省傘下の国立研究所の一つで職員4,000名。管理はバッテリー・エネルギー・アライアンスという研究機構で、バッテや電力事業の企業連合に、MITやアイダホ州立大学などの大学が加わる。

オバマ政権ではエネルギー関連予算が潤沢でエネルギー関連の研究開発も活発に行われたが、トランプ政権は環境・エネルギー予算を大幅に削減した。そのためITERの予算も削減され全体計画に影響が出ている。環境省は人員削減が行われ、国内の環境科学、エネルギー関連研究への影響も懸念されている。

 

You have no rights to post comments

スポンサーサイト

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.