風力発電に関する最近の話題〜その2:北海風力発電ハブ

太陽光と並んで再生可能エネルギーの主たる担い手である風力発電は国内外で大規模な発電所が稼働を始めあるいは建設が進められている。国内でも鹿島沖に大型風力発電所が東京ガスと日立製作所が、茨城県沖合で首都圏最大級(20-30MW)となる洋上風力発電所の建設に着手し、2020年代半ばに稼働が予定されている。

 

ここで紹介するのは欧州の再生可能エネルギー拠点となる超大型風力発電所計画である。オランダ、デンマーク、ドイツの3カ国が共同で北海に北海風力発電ハブ(North Sea Wind Hub)と呼ぶ大型風力発電コンソーシアムを建設する。

北海風力発電ハブは北海のエネルギー資源開発を手がける欧州送電系統運用者協会 ETSO: European Transmission SystemOperatorsが中心となり、欧州への送電を念頭に置いた計画である。下図(右)の位置関係からも、英国を含む欧州沿岸への送電に便利な立地となっている。

 

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Credit: North Sea Wind Hub

 

発電能力は70,000MW-100,000MWで世界最大の風力発電所となる。当初の70,000MWでも平均的な1000MW原発70基分に相当する。送電先はオランダ、デンマーク、ドイツ、英国、ノルウエイ、ベルギーで、海底に設置された高圧送電線によるが、特徴はハブを中心に星状の海底送電網を形成することで需要に応じて電力の売買が可能になることである。8,000万人の電力需要を供給が予定されている。

風力発電所として世界最大となるばかりではなく、最終的に1000MW原発100基分となる100GW発電量は送電網が整備できなければ一国で消費できる電力では無い。欧州は再生可能エネルギー比率を高めるだけではなく、電力網を新たに作り国境を超えた電力売買で、有効に使い切ることを考えている。

北海風力発電ハブには上図(左)に示される滑走路を備えた人工島が建設されこのワークショップが建設と維持の拠点となる。送電網は5本に分かれた高圧送電線がこの人工島から沿岸に向かって伸びているが、驚くべきことはこの送電線の領域一帯に洋上風力タービンが碁盤の目状に建設されることである。1基の風力タービンの発電能力が3MWとすると、当初計画の70,000MWでさえ2万基となる。地図上で北海が風力タービンの碁盤の目で覆い尽くされるほどである。

 

日本では漁業への影響で問題になりそうだが、CO2排出規制で先陣を切る欧州は再生可能エネルギーへの転換の決意が一部の不利益を上回ったということなのだろう。欧米の送電網が老朽化して更新の必要性が高まったことを背景にして、国境を超えた送電網を整備する事業と再生可能エネルギー転換が合体させて取り組む姿勢は学ぶところが大きい。日本では未だに電力会社が狭い国土を区切って送電事業の統合が進まない。またAC周波数が統一されていない国も珍しい。今後、再生可能エネルギーへの転換を真剣に考えるのなら、参考にすべき事例では無いだろうか。

 

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