近赤外光による水素発生に成功

Liイオンバッテリを搭載するEVと燃料電池車(FCV)は異なるアプローチで化石燃料の内燃機関に取って変わる動きが活発になっている。しかし先行するEVは火力発に依存する限り、排出ガスでの優位性は薄れる。水素は低コスト製造とインフラの整備が壁となるが、環境保護の観点からは理想的な代替エネルギーとして期待がかかる。

 

しかし水素はFCVの燃料としてのみでなく、再生可能エネルギーを貯蔵する意味でも重要な未来社会の基盤を支える存在なのである。水の分解で水素と酸素が発生するが、その方法は電気分解や光触媒など多様であるが、分解に必要なエネルギー(1.23eV)を太陽光で得るのが最もクリーンな製造法となる(下図)。

太陽光の波長分布をなるべく多く吸収して利用すれば、水素をより多く発生するのでエネルギー変換効率が高くなる。ほとんどの太陽電池材料は短波長成分(高エネルギー可視領域のみ)を吸収するので、エネルギー効率は限界まで高められていない。

 

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Credit: rsta.royalsocietypublishing

 

九州大学の研究グループは近赤外光を加えて紫外、可視、近赤外領域の光を連続して利用する太陽電池を開発した(Tsuji et al., Angewandte Chemieonline Nov. 2, 2017)。光を吸収して励起電子を金属原子に配位した有機物の分子軌道に叩き上げ、プロトンに供与されて水素が発生する。一般的にはエネルギー準位が高く波長600nm以下の高エネルギー光子が必要となるため近赤外光は利用できなかった。

開発された金属−有機ハイブリッド材料(下図)では、有機分子が配位したルテニウムの軌道を用いることによって、近赤外領域の光子が利用できるようにした。さらに近赤外光は吸収されにくいため侵入距離長が大きく高効率化に役立っている。研究グループは分子内に3つのルテニウム中心をもつ金属錯体を光捕集分子として、従来の2倍の太陽光エネルギーで水素発生を行うことに成功した。

 

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Credit: Kyushu University

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