世界各地で観測されるフォールアウト核種

欧州とハワイの放射性核種フォールアウトが話題になっている。前者の放出源は特定されていないが、広域観測ネットでロシアもしくはカザフスタンとみられている。。後者は福島第1事故によるものであるが、シミュレーションマップと異なる数値が観測されている。

 

欧州のルテニウム106が増大(続報)

10.12日付けで欧州の放射性核種濃度が急激に増加という、記事を書いた。検出された各種はルテニウム106で、ドイツ当局は観測結果を総合すると大気へのルテニウム106放出はウラル山脈の南の地域あるいはロシア南部の可能性が高いとしていた。フランスのIRSNは、40箇所の観測データを総合した結果、11月10日にルテニウム106がこの地域の原子力関連施設(原発を除く)の事故によると結論した。

IRSNの解析によると放出されたルテニウム106は100-300TBqで、もしこの規模の原発事故がフランスで起きたなら、即時住民避難措置が取られるとしている。しかし今回、検出されたのはルテニウム106のみなので、原発事故起源ではないとしている。(原発事故では福島第一事故のようにセシウムが多く観測される)

ルテニウム106は放射線治療の他、原子力電池として衛星に搭載される場合がある。この期間にこの種の衛星が落下していないことから、後者の可能性はない。IRSNは直ちに人体に健康被害を及ぼす線量ではないとしているが、未だに事故報告がない。チェルノブイリ事故もロシアは事故を隠し通し、北欧の研究所の入退出線量計が異常な反応をしたことで、プルーム飛来が発覚した。放出源がロシア(カザフスタン)にあることは確実になったが、事故を隠蔽する体質は健在のようだ。下図で放射線マークは放出の可能性が高い地域と観測地点を示す。

 

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Credit: IRSN

 

ハワイの土壌中の福島起源セシウム

ハワイ諸島では福島第一事故後、全島で一週間でセシウム134, 137のエアロゾル、ハワイ島で牛乳中から検出された。新しい論文では2015-2016年の期間に置けるハワイ諸島の土壌中のセシウム濃度を調査した(Mckenzie and Dulai, J. of Environmental Radioactivity, online Oct. 7, 2017)。

福島起源のフォールアウトの特徴は核実験の場合と異なりセシウム同位体比(134/137)が1:1となることで、測定によるとセシウム134は30-630 Bq/m2、セシウム137は20-2200Bq/m2であった。土壌中に取り込まれたセシウムは地表から2011年3月19日から4月に集中した200mmの降雨によると考えられる。

 

このセシウムフォールアウトはこれまでのシミュレーションの予測値や米国本土の値より大きい。しかしハワイ諸島の近辺で行われた核実験の際のフォールアウトより1桁小さい。またセシウム濃度の高い地域は人口密集地域や農業地帯から外れていた。シミュレーションの多くはジェット気流を重視している。

 

FukWind1

Credit Sufology

そのため1-2日で北ルートで米国太平洋岸に到達するフォールアウト量が多いが、ハワイで観測されたのが1週間後だとすると西海岸に一旦到達した気流が分水嶺を超えられずに、南に回り込んでハワイ諸島方向に戻っていった可能性がある。シミュレーションにジェット気流の他の地形や降雨条件など気象情報を付加して、精度をあげる必要がある。政府が相変わらずSPEEDI予測を重要視しないのも精度不足だと評価しているからなのだろう。

 

 

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