セリウムの水分解反応触媒の鍵を握るオンサイト・エントロピー

これまでもセリウムが水分解反応の触媒に適していることは知られていたが、そのメカニズムについては不明な部分が多かった。ノースウエスタン大学の研究グループはセリウムの還元反応エントロピーが反応促進の鍵となることをみいだした(Naghavi et al., Nature Comm. 8: 285, 2017)。

 

研究によるとセリウムが還元能力を最大限に発揮するためにはエントロピー項の助けが必要だとしている。水素を化石燃料の代替エネルギーとする考え方は1970年代遡るが、最近では燃料電池の燃料として貯蔵エネルギーとして注目されている。不安定な再生可能エネルギーに対して水素貯蔵で必要なときに燃料電池で発電できるからである。

また水素は(燃料電池も含めて)燃焼しても水となりCO2、NOxや微粒子などの排出がない環境適合型のエネルギー源である。問題は水素と酸素の強い結合に打ち勝って水を分解するには多くのエネルギーを必要とすることで、そのため1000-1500度の高温化でセリウム酸化物CeO2を使う大規模な水素製造プラントが実用的と考えられている。

 

水分解反応ではセリウム原子が電子プロトンに与えることで水素を生成される。そのとき受け取った電子の行き場所が多いほど、つまり電子が別の軌道に遷移できればエントロピーが増大することになる。セリウムは複数の電子状態をとることができるが、計算により17個の希土類元素中でエントロピー最大の元素であることがわかった。下図参照。左はセリウムの軌道エネルギー模式図、その下の表が計算されたエントロピー。 

s41467 017 00381 2 2

Credit: Nature Comm.

 

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Credit: Nature Comm.

 

Ce4+/Ce3+還元のオンサイトエントロピーは酸素空孔につき4.7kBと最高値を示す。このためセリウム酸化物(セリア)が高温水分解による水素製造触媒に適していることが科学的に裏付けられた。またテルビウム酸化物も触媒候補に有力であることもわかった。

 

Rh/CeO2触媒とマイクロ波加熱で500C以下で水分解を行う研究もあり、CO2フリー水素製造の研究開発が加速している。CeO2の特徴を生かした触媒の開発に期待が集まる。

 

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