気体表面原子回折による新同位体分離法

同位体の分離は極めて難しい。化学的性質も物理的にもそれらを区別することができないからである。わずかな質量数の違いを利用する物理化学的な分離にしても大規模な分離プラントと莫大な電力が必要になる。逆に言えばこのことがウラン濃縮を難しくして、核拡散に役立ったともいえる。

 

シカゴ大学の研究グループは従来の手法とは全く異なる同位体分離法をて慰安した(Nihill et al., Phys. Rev. Lett. 119, 176001, 2017)。研究ではNe同位体をガス流をシリコン表面に照射し、同位体を異なる角度で回折させることで分離できることを実証した。この方法は電力を使用しないため、低コストの同位体分離が可能になった。

同位体の質量差は中性子数個分にすぎない。同位体といえばウラン濃縮や医療用放射性同位体製造が頭に浮かぶが、電子技術でも例えばシリコンの同位体を揃えると電子移動度が高まるため、将来のIC製造に応用が気体されている。低コストの同位体の分離技術が確立すれば、こうした応用が開かれると期待されている。

研究グループはNeの超音速ガスビームをシリコン結晶表面に照射して回折ビームが同位体の質量を反映してわずかに異なる角度で進行するようにした。(下図)

 

medium copy copy copy copy copy

Credit: Phys. Rev. Lett.

この手法では周期律表で原子番号40までの元素に対して適用が可能である。研究グループはまた同位体によって回折される原子の速度が異なるため、この方法を濃縮にも応用できるとしている。下図にNe同位体のTOFスペクトルを示す。Ne20とNe22がはっきり分離されて観測されていることがわかる。

 

medium 1 copy copy

Credit: Phys. Rev. Lett.

 

最初にかいたようにウランに適用できないのは原子力利用上は都合が悪いが、核拡散上は逆に安全な分離技術といえる。ただしスケールアップしようとすれば尋常ではない数の装置を同時に稼働しなくてはならないだろう。

You have no rights to post comments

スポンサーサイト

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.