欧州の放射性核種濃度が急激に増加

ドイツの放射線防御局はこの一週間の欧州中央と西部地区の放射線量が異常に増大していることを明らかにした。放射線量の動向はドイツ国内の6カ所を含む欧州の微量放射性物質計測ステーションの計測に基づいている。

 

検出された各種はルテニウム106で一般には目の腫瘍の放射線治療に使用される物質で、発生す熱を衛星の電源として利用することもある。ルテニウム106(半減期367日、β崩壊でロジウムに転換)の線量増加はオーストリア、フランス、ドイツ、イタリア及びスイスの計測ステーションで観測された。

線量自体は直ちに健康被害をもたらすレベルではないが、問題はその起源が不明であること。ドイツ当局は観測結果を総合すると大気へのルテニウム106放出はウラル山脈の南の地域とみられが、ロシア南部の可能性もあるとしている。

 

ルテニウム106は原子力関連施設でつくられる核種であるため、原子力施設起源が疑われるが、原子炉事故で放出される他の核種の増加はみられないことから原子炉事故によるものではない。またロシアの原子力を統括するロスアトムもロシア国内に原発事故はないことを確認している。またロシア国内では10月7日まで異常なルテニウム106濃度増大は観測されていないとしている。

 

欧州では今年の2月にヨウ素131が突然増大した。ヨウ素131の半減期が短いため計測期間は限定され、放出箇所の特定はできなかった。下の図はこの時の測定値。

 

IRSN detection iode 131 Janvier 2017 copy

Credit: IRSN

ドイツの公式発表を受けてフランスの放射線防御・原子力安全研究所(IRSN)もノルウウェイ、フインランド、ポーランド、ドイツ、チェコ、フランス、スペインでルテニウム106が微量(最大6-7 μBq/m3)検出されたことを認めた。フランス国内の観測地はIRSNが展開する計測ネットワークOpera-Airを使って得られた。

線量が健康被害に結びつかなくても出所不明の放射性物質が欧州広域で計測されていることに、環境汚染と安全保証の両面で懸念が高まっている。Opera-AirはIRSNが整備した広域放射線計測。今回の計測でその機能を証明することとなった。欧州の放射線計測ネットワークの整備が完了すれば欧州は世界で最も放射線計測ネットワークが緻密な地域となる。

 

 

 

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