CO2とメタンから燃料製造が進展〜非平衡プラズマ合成

EVへの転換が世界的な潮流となりつつあり、日本の自動車メーカーの動きの遅さが話題となっている。よく考えればしかし、EV普及とはエネルギー源に電力を使うだけで、メーカーのEV販売数が増えても、クリーン・エネルギーが供給されない限りゼロエミッションとはならない。

 

ゼロエミッションとならないEV 

一方、デイーゼルゲート以来、評判の悪い内燃機関だがカーボン・ニュートラル燃料を市場に供給できれば、既存の車の生産体系もインフラもそのまま転用できる。ここでいうカーボン・ニュートラル燃料とは空気中の CO2を使って製造された燃料アルコール(注1)のことである。

(注1)一昔前はバイオマス燃料が含まれていた。米国の一部の州では一般車に供給するガソリンに一定量を混合することが義務付けられている。しかし製造プロセスを含めるとカーボン・ニュートラル性は成立しないため、大幅な製造計画は見直しが進められている。日本では相変わらず国の予算で開発研究が継続されている。

 

リバプール大学の研究グループはCO2とメタンの混合気体から、プラズマ合成により液体燃料を直接製造する技術を開発した。シンガス製造を不要とする新しい単ステップ製造方法による工業的なカーボン・ニュートラル燃料(注2)の製造の見通しが得られた。(Wang et al., Angewandte online Sep. 17, 2017)

(注2)アセチル酸、メタノール、エタノール、フォルムアルデヒド。

 

21 breakthrough

Credit: Liverpool Univ.

 

この製造方法では室温で大気圧非平衡プラズマを使うことにより、反応場の電子温度を高めるので余計な熱エネルギーを消費しない。これまでCO2とメタンから単ステップで燃料を製造することはできなかったが、非平衡プラズマの利用で低コストで燃料を合成することが可能になった。また非平衡プラズマに触媒を持ち込むことで反応選択性を持たせることができた。

下図に示すようにCO2とメタンは温室効果ガスの72%、18%を占めている。これらを固定して燃料として使えば、大気中に放出されるが増大には寄与しない。また世界の天然ガスの3.5%にあたる1,500億トンは使用されず無駄に燃焼させて3.5億トンのCO2が毎年、大気に放出されている。

Greenhouse Gas by Sector

Credit: Wiki

 

非平衡プラズマ

非平衡プラズマ中の気体の電子温度は1-10eVでありCO2やメタンなどの不活性気体の励起状態を作り出すのに適している。触媒による還元反応選択性はアセチル酸がこれまでの最高値となる40.2%となる。非平衡プラズマによるCO2-メタン改質(燃料合成)の研究開発は他の研究グループの報告もある。

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Credit: Appl. Catlyst A:General

 

非平衡プラズマによるCO2、メタンの改質はスケールアップとともにスケールダウンすることも可能である。このコラムでは核融合やテーブルトップX線光源としてプラズマ科学の将来性に関する記事を書いてきた。繰り返しになるが「21世紀はプラズマの世紀」というのは現実になりつつあるかもしれない。

 

 

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