透過型電子顕微鏡のその場観察〜Liイオンバッテリーの問題解決に指針

 現代社会はLiイオンバッテリーに依存していることは否定できない。しかしLiイオンバッテリーは完成された技術ではないところに問題がある。つまり人間はリスクと至便性(コスト)を秤にかけた時に、後者をとる。

 

Liイオンバッテリーの危険性については別記事があるので、ここでは透過型電子顕微鏡のその場観察で問題解決に光が見えてきたことを紹介する。 

アルゴンヌ国立研究所の研究グループは電子顕微鏡の実時間観測に基づいて、Liイオンバッテリーの電極反応による電極劣化のメカニズムと問題点をレビューした。電極材料に依存する問題の多くはこれまでに得られた知見を駆使すれば解決の見通しが立つとしている(Nature Comm. 8:15806 (2017))。

Liイオンバッテリーが使われる理由は他を持って代え難いエネルギー密度にあるが、反応性の高いLiイオンが充放電で電極間を移動する際の非可逆性が問題の根源である。それにもかかわらず市場規模は拡大の一途を辿り2024年までに770億ドル〜7.7兆円規模が予想されている。

 

ncomms15806

Credit: Nature Comm.

図中のaはLiイオンの移動によるAu電極上への選択成長(スケールは200nm)、bは固体電解質界面形成とLiデンドライト成長(スケールは800nm)、cは電解質膜厚に依存した自己放電、dは充放電サイクルによるLiCoO2/LiPON (電解質)及びLi(7 3x)AlxLa3Zr2O12/Li 界面形成(スケールは200nm)。

 

論文では透過型電子顕微鏡(TEM)のその場観察でLiイオンバッッテリーの電極に関する多くの問題と解決法が紹介されている。紙面の都合で全てを網羅することはできないが、その一部を下記に示す。論文はオープンアクセスなのでダウンロードして誰でも読むことができる。

 

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