地震波による核爆発の規模の評価

 

北朝鮮の地下核実験の規模は、地震の規模が韓国の計測のM5.6から気象庁のM6.3まで様々で、そのため爆発規模も50-60キロトンから160キロトンまでばらついている。最終的には政府が160キロトンとしたがどのようにして、またどの研究機関が決めたのかが公表されていない。自然発生と並んで核実験の地震波観測は各国の地震研究機関が真剣に取り組んでいるが、解析機関、解析法やデータを公開することが多い。

 

核実験による地震波

地震波から核爆発の規模を評価するのは基本的には自然発生地震と同じである。観測される地震波の波形は下の例に示すように、自然発生の地震と大きく異なり「余震」は観測されない。米国地質調査所(USGS)のデータをもとに世界の地震発生情報をいち早く表示するサイトで知られるIRISが世界中の核実験をもっとも早く伝える機関である。IRISは全米の120大学の研究者が参加して組織された横断的な研究機関である。

例えば2013年2月12日に北朝鮮が行った核実験ではM5.1地震波が発生した。その事象の詳しいデータは公開されていて誰でもダウンロードできる。これを使えば解析できるが、核爆発の地震波は地表に近い層の中を反射を繰り返して伝搬する(下図)。表面層地震波の伝搬は伝搬する地面の密度分布に依存するので、前もって地質学的なデータを持っている必要がある。

 

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Credit: koreaherald

 

自然発生の地震ではP波とS波は同時に発生するが高速に伝搬するP波が最初に観測される。核爆発ではこれと異なりP波が最初に発生、そのあとでS波の発生となる。北朝鮮のプンゲリ核実験場から発生した地震波は約50秒後に韓国の地質鉱物研究所の地震計で観測され、核実験であるかどうかの判定後に20-30分で発生場所の特定が行われる。

 

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Credit: indiana.edu

 

北朝鮮の今回の核実験の地震波観測と解析結果を各国の地震研究グループが公開している。IRIS発表のデータ(下図)を見れば、今回の地震波(赤)が2016年の前回実験(青)に比べて桁違いの規模であったことがわかる。

 

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Credit: IRIS

 

バークレー地震研究所が300キロトンと推定

ノルウエーの地震研究所(NORSTAR)のデータでも規模の違いは歴然としている。40カ所の計測データをバークレー地震研究所の解析した結果、爆発力を300キロトンと推定している。

 

政府公式発表の160キロトンという数値がどのデータを使ってどの研究所が算出したものなのかは最低限公表すべきと思う。現在でも160-300キロトンの推定値のばらつきは大きすぎる。これだけ規模が大きければ、放射性核種の(特に気体)の大気への放出の確率が高いので高崎の観測結果や大気のサンプリングの結果に注目したい。放射性核種の検出結果については改めて別項にまとめtることにする。

 

 

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