それでもあなたはEVに乗りますか〜EVの真実

日本の火力依存は先進国中で84.6%、堂々の1位である。もちろん火力といっても最新の施設は排気ガスの少ない環境負荷の少ないものだし、燃料に原油より使い切る時期が遅れる天然ガスを使うのは、短期的には得策と言えなくもない。欧州でもフランスは原子炉の1/3を廃止することになり、ドイツが再生可能エネルギーの不足分で欧州が電力不足に陥ると懸念される。

 

その一方で欧州は2030-2040年までに内燃機関の車が販売できなくなり、英国は燃料販売が禁止されることもあって、EV社会への動きが活発である。日本でもEVやFCVへの関心が高まりつつある。しかしEVは排出ガス問題にもエネルギー危機にも、抜本的な問題解決とならないのである。

 

EV普及シナリオが現実的でない理由

客観的に考察すればEVの将来は決して明るくない。その理由を簡単に説明すると、まず世界中の車をEVに置き換えることが数字的に不可能だからである。EV普及カーブをどういじっても、米国だけで10億を越える自動車を全てEVで置き換えることができないことは明白である。またEV運転中は排気ガスを出さないが、電力を使うから発電を含めればゼロエミッションではない。このことを頭におけば(再生可能エネルギーで充電しない限り、)EV購入のモチベーションは低くなるだろう。

ではあえてEVで走るとどのくらい便利(不便)なのか国内EVインフラを見てみよう。

 

充電インフラの現状

経済産業省によると2015年度の揮発油販売業者数は、事業者数15,574、給油所(SS)数32,333箇所。SS数は1994年度の6,0421箇所に比べて半分に減少した。SS減少は整理統合という自由競争の結果なので、減少がEV(FCV)の置き換えによるものではない。

一方、充電ステーションはEVバッテリー容量と充電設備の規模と規格で充電時間が異なる。国内の多くは普通充電と急速充電(CHAdeMO規格)スポット(注1)でそれぞれ、3kW、50kW出力となる。CHAdeMO協議会によれば2016年の設置箇所は6,500箇所となり、普通充電スポットと合わせると国内設置箇所は20,000箇所隣、SSの2/3となる。数値上はEVインフラ整備はかなり進んでいる印象だが、充電能力を考慮すると実はそうでもない。

(注1)日本主導の国際規格CHAdeMOの最大出力は500V、125Aすなわち62.5kW(実効充電出力50kW)で、テスラEVの急速充電ステーション(スーパーチャージャー)120kWに比べれば、非力であった。2017年CHAdeMO規格が改定され最大500V、400Aの200kW対応(実効充電出力150kW)となった。EVの充電規格は下図のように世界統一規格ではないのでアダプタをいくつか用意することになる。

 

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意味のない普通充電スポット

普通充電スポットの3kW出力ではバッテリー容量の少ない国産EVリーフの充電ですら忍耐の限界を超える。また急速充電とは言えCHAdeMO規格の出力は最大で50kWであって、それ以下のスポットでは急速充電(80%充電に30分)とはならない。

 

これによって設置業者の設備投資次第でスーパーチャージャーと遜色ない急速充電が可能ではあるが、既存のCHAdeMOスポットが6,500箇所には実効充電出力50kWを下回る設備も含まれる。また、2016年度あたりでスポット設置数推移が鈍化していることからすれば、SSに肩を並べるにはSSの1/3(現状の4倍〜20,000箇所)は必要だろう。まだ時間がかかりそうである。EVに好意的な統計では普通充電を含めれば10,000スポットあるというが、普通充電ではお話にならない。

年間1万km以上を走る筆者はガソリン給油に30分かかっていたら「お茶でも飲む」ことより、車に乗ることやめていただろう。それでもゼロエミッションの言葉に魅了されEVを購入したのであれば、開き直って貴重な化石燃料を火力発電に譲った自分に誇りを持つべきなのかもしれない。日本の火力発電の比率をどうするのかについてもこの機会に考えてもらえたら尚良い。

 

 

 

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