カーボンニュートラル燃料を製造する光触媒

バークレー研究所とシンガポールのナンヤン工科大学の研究グループはスポンジ状の有機ニッケル結晶触媒を用いて太陽光照射下でCO2から効率100%でCOに還元できることを見出した(Sience Advances 3, e1700921 (2017))。

 

光合成ではCO2還元反応では植物が水分子を分解する際に得られる電子を用いてCO2が還元され炭水化物と酸素が生成される。CO2の還元反応ではC-O結合を切るのにエネルギーと触媒が必要になる。化石燃料の枯渇と排ガス規制の両面でカーボンニュートラル燃料をCO2から製造する技術開発が求められていた。

しかし従来のCO2還元反応では副生成物が存在し、COの純度が低いことが実用化を妨げていた。研究グループは赤外レーザーで反応を起こすレーザー化学手法を用いて有機金属(ニッケル)触媒を合成し、太陽光照射で効率100%のCO2還元反応が得られた。

 

有機金属触媒はスポンジ状の複合多孔質材料MOF

MOF(注1)は個々の金属に適した有機フレームを設計することにより、触媒機能、特定ガス吸着、センサー特性などの機能性を持つ多孔質機能材料を創出することができる。

(注1)Kitaura, R., Onoyama, G., Sakamoto, H., Matsuda, R., Noro, S.- I. & Kitagawa, S. Crystal engineering: immobilization of a metallo Schiff base into a microporous coordination polymer. Angew. Chem. Int. Ed. 43, 2684–2687 (2004).

 

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Credit: Sience Advances

 

使われた触媒は金属イオン(クラスター)がTPA(テレフタル酸)に配位し、MOFフレームの一部をTEG(トリエチレングリコール)で置き換えた複合MOF構造、Ni(TPA/TEG)を基本とし表面をCOからCH3COOHを作る反応触媒としてAg、Rhなどの金属ナノ粒子で修飾した、Ni(TPA/TEG)-Rh、Ni(TPA/TEG)-Agも作られた。これら比較した結果、Ni(TPA/TEG)を用いた還元反応の生成物(CO)の純度が100%となる結果が得られた。

下図でA、BはAgナノ粒子を表面に埋め込まれたNi有機金属触媒の低倍率、高倍率TEM像を示した。CはEDXマッピングの結果で各元素の分布を示している。Dに 6時間後の反応生成物(CO、COOH、CH3COOH)の比率を種の複合触媒についてまとめてある。

 

カーボンニュートラル燃料製造に向けて

この複合MOF触媒でCO2を効率100%でCOに還元できる。またCOから蟻酸やメタノールを生成する金属触媒ナノ粒子を組み込むことで、燃料を製造することもできる。

英国が化石燃料の販売禁止や、ドイツ、フランスが内燃機関の車の販売を禁止することで、2030-2040年はEVが内燃機関の車を置き換えるとされる。しかしEVの普及で全ての内燃機関の車を置き換えることは不可能に近い。CO2を固定して燃料を合成することができれば、既存の車と給油インフラがそのまま使えるカーボンニュートラルが可能になる。

 

 

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