フランスが2025年までに17基の原発を廃止

フランスのエネルギーミックスは原発が75%であり、世界でも原発依存度が非常に大きい国というのは、どうやら過去の話になりそうだ。というのも新政権が誕生する前に、依存率を50%以下にする法案が議会を可決しており、新政権はそのための数値目標を17基として、2025年までにこれらの停止、廃炉を決めたからだ。

 

マクロン政権のエネルギー政策

新政権はこのほかにも、2040年までにガソリン車とデーゼル車の販売を禁止するなど、環境政策に思い切った改革を掲げている。排出ガスが少ないとされる原子力一辺倒の考え方から、エネルギーミックスの多様性を目指す背景には、必ずしも環境対応だけでなく、1970年代後半に建設された原子炉が老朽化しても更新(新規建設)が困難であるとの判断がある。

実際、フランス電力の傘下にある世界最大の原子力企業アレヴァ社が総力をつぎ込んで開発した次世代炉、欧州型原子炉(EPR)のフラマンビルの建設は遅れに遅れており、新規原子炉の建設が進まないという意味では米国と同じ更新困難の現実を直視せざるを得なくなった。

 

火力という選択肢がないフランス

フランスはパリ議定書から2年後に当たる今年の12月に気象変動国際会議を再び開催することを表明したが、保有する1/3の原発を廃止する決定は参加国にどのような影響を与えるのだろうか。今回の新政権の17基の原発停止はすでに議決されていた法案に従うための措置であるが、排出ガス規制の先陣にいるフランスとしては原子力の穴埋めを(日本のように)化石燃料火力に頼る訳にもいかない。

フランスが原子力への依存を高めたきっかけは1973年の石油危機であった。発電を輸入に頼らないためには火力に頼れないと考えたフランスがとった政策は原子力であった。フランスは建設される原発を加圧水型とし、7年間で76%の電力を58基の原発で賄う原子力大国となった。

 

原子炉58基建設の費用(3,300億ドル)の財政支出と引き換えに、フランスは剰余電力をドイツに売電するほどになった。これらの原発は現在はフランス電力が85%の株主となるアレヴァ社が担当し、約20万人の雇用を生み出した。原発の稼働でフランスのCO2排出量はEU平均(6.2トン)や米国(16.2トン/人)より低くなっている(注1)。

(注1)原子炉運転中の数値。燃料掘削、輸送、精製、廃棄のプロセスの排出量は含まれていない。

58基の原子炉の15基は稼働後35年を経過していて設計寿命(40年)に近づいている。中でもドイツとの国境に近いアルザスのフェッセンハイム原発は老朽化で危険な状態にあるとして、ドイツとの係争中にある。全ホランド政権はノルマンデイに建設中の原子炉の稼働時に、この原子炉を廃炉とするとしていた。またホランド政権は原発の寿命を10年間延長して50年とする方針であった。

 

財政負担が壁となる原子炉更新

しかし老朽化原発を新規原子炉で置き換えるにしても、廃炉にして(火力の道は閉ざされているので)再生可能エネルギーを増やすにしても財政負担が重くのしかかる。例えば後者で風力と太陽光にすると2035年までに2,170億ユーロの財政出動が必要になる。一方、原子炉の廃炉と核燃料処理は850億ユーロとなる。再生可能エネルギーで原子力を置き換えるにはこれらの両方とも支出しなければならない。

それでも新規原子炉を建設して置き換えようとすればそれ以上の財政負担となり現実的には不可能である。1,000億ユーロのコストをかけて寿命延長しても、10年稼働が延長できるだけである。フランス電力は2030-2050年の間に30-40基の新規原発を維持するには2,500-3,000億ユーロと見積もっているが、現在のフランスの財政難では非現実的な財政負担である。

原子炉の稼働期間に電力会社は電力料金に更新積立金を上乗せしなければならないのだが、そうすると原子力の電力コストの競争力が低下する。持続性に大きな問題があったことをフランスは学ぶ羽目になった。

 

 

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