拡張される半導体の混晶領域〜薄膜でバルク相図が緩和

最近、米国のDOE(エネルギー省)傘下の国立研究所やコンソーシアムではエネルギー科学で目覚ましい成果を上げている。その中の一つである再生可能エネルギー研究所(NREL)が環境の他に、形態や微視的構造を取り入れたシミュレーションによる混晶作成技術を提案した。

 

混晶によるバンドエンジニアリング

半導体材料の物性で最も重要な光学ギャップ制御は、これまで混晶で制御することが一般的であったが、これには2種の材料同士が似た構造を持ち、固溶しあうことが条件であった。例えばIII-V族、II-VI族など。

今回の研究によって一般的には混晶を作成できないとされる構造の異なる材料同士であっても、混晶作成が可能であることが示された(Science Advances 3 6 e1700270 (2017))。MnOとZnOは異なる結晶構造のため固溶体を作らないとされて来た。1:1の固溶体は1,000度以上の高温で安定だが室温に戻すと不安定になって相分離を起こす。

 

研究グループはパルスレーザー成長とマグネトロンスパッタリングで薄膜成長で、これらの固溶体結晶を作成できることを示した。これまでのバルク結晶に対するミキシング・エンタルピーの評価による相図では、不安定とされる組成でも薄膜構造では固溶体が安定化されることがある。

こうしたバルク以外の環境(薄膜・ナノ結晶)での固溶体組成領域はバルクより広くなる。シミュレーションによって安定性を計算し薄膜化することで、混晶化の制限は緩和され、目的の物性の最適化の制限が広がるものと期待されている。

 

e1700270.full

Credit: Science Advances

上図のようにバルクでは限界のあった組成でも安定に存在し、物性、構造パラメーターが連続的に制御できる。これによって希望する物性の半導体が遠い存在であった異なる構造の物質系との混晶で実現できる可能性が示された。

 

 

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