反強誘電体物質によるエネルギー貯蔵デバイスの可能性

再生可能エネルギーのベース電源としての本格的な利用にはエネルギー貯蔵技術が不可欠となる。それには各種電池やスーパーキャパシタのほか、レドックスフロー、そのほかのエネルギー貯蔵技術(注1)の利用が一般的であるが、入力変動に対するレスポンスではキャパシタだが、エネルギー密度が低い。

 

(注1)磁気エネルギー貯蔵はテスラが100年も前に提案したものである。最近では超伝導コイルによるエネルギー貯蔵技術が注目されるようになった。そのほかフライホイールによる運動エネルギーとして貯蔵する方式など様々な方式の貯蔵技術が研究されている。

 

米国の研究グループとルクセンブルグ工科大の共同研究チームはシミュレーションによりビスマス系反強誘電体が電場の強さが2-3MV/cmの領域で、高エネルギー密度(100-150J/cm3という)、高効率(80-90%)でレスポンス特製の良いエネルギー貯蔵能力があることを示した(Nature Comm. 8:15682 (2017))。 

希金属を置換したビスマスフェライト(Bi1-xRxFeO3)のエネルギー密度特性が高いため、大容量エネルギー貯蔵物質としての能力が高い。ポイントとなるのは隣り合う双極磁石を逆向きに配置して、全体の極性を相殺することで、高電圧下で強誘電体として振る舞うようになる。

 

今回の研究の結果によるとシミュレーションでエネルギー密度や最適特性を得るためのパラメーターが予想でき、反強磁性体でエネルギー貯蔵物質の製造につながる。今回のシミュレーション結果の検証実験が待たれている。

ncomms15682 copy copy

 

Credit: Nature Comm.

上図(a)はエネルギー貯蔵特性(P-E曲線)、(b)エネルギー密度、(c)最大電場の絶対値の関数としての効率。カラー実線はPZO: PbZrO3、PLZT、PLZST:(Pb,La)(Zr,Sn,Ti)O3、PZT-PMN-PT: Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3に対する計算結果。HZO: HfxZr1-xO2や報告されているBNLBTZ:( Bi1/2Na1/2)0.9118La0.02Ba0.0582(Ti0.97Zr0.03)O3に比べて4-5倍エネルギー密度が向上している。

 

 

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