外国からの疑惑が高まる福島第一圧力容器の状態

東京電力は3月18日、福島第1原子力発電所1号機でデブリの状況を把握するためのロボット調査を再開した。格納容器に貫通させたパイプからロボットを投入し、21日までの4日間で、格納容器の底にあるとみられるデブリの状態を確認する予定であった。

  

その結果わかったのは

① 2号機調査に比べて1/100スケールの放射線量が観測されたこと

② デブリが(調査の範囲では)発見できなかったこと、この2点のみであった。

 

3月20日に業界メデイアENENEWSはこのことに触れ、これまでのデブリが圧力容器下部とその直下にまとまって存在しているとした東電説明と異なり、地下水と接触する深部に達している疑惑を再燃させている。メルトスルー説はあり得ないと考えるだろうが、最悪のリスクを考える国外メデイアはメルトスルー説で危機感を煽る。ひとつひとつはたわいもない内容であったとしても、まとまると大きな影響力が生まれる。疑惑が生じたらすぐに芽をつむことが重要だ。

ENENEWSの疑惑の真意は水素爆発の危険性の警告にあるようだ。水素が発生しても溜まる空間がないのでその危険性はほとんどないが、危機感を煽るメデイアの格好の材料提供になったことは事実である。一部のオリンピックの競技の福島開催への反撥もこうした報道が影響していることは否定できない。

 

何れにしても今回の1号機圧力容器内部調査結果は不満が残る。水中でのガンマ線減衰を考慮してもデブリに近づけば線量が上がるはずなので、デブリが圧力容器にはほとんど存在しないことの検証以上の結果が得られなかった。外国で絶えることのない「デブリが圧力容器内に残っていないのではないか」という疑惑を晴らしてほしい。

複数の縦穴を掘ってガンマ線検出器を下ろしながら、同時計測したデータを解析すれば、デブリ分布の3Dマップを作ることは難しくない。ガンマ線検出器はプラスチックシンチレーターを使い立体スリットで指向性をあげれば十分であるが、効率化には2D検出器が有効である。注意すべきは背景線量が高いのでファイバー光学系で信号の光伝送が必要な点である。通常のCTでは透過X線強度の対象物の全周囲計測値値を連立させて解き、輪切りイメージを作って重ねて吸収量の3Dマップをつくる。ここでは対象が放射線を放出する点が異なるが、発光点を要素で表現し再構築することになる。アイソトープを投与しそれが集まる組織を再構築するガンマカメラのソフトと同じである。もちろん圧力容器やコンクリート、周辺の機械類は適当な吸収量を入れて設計図から3D吸収マップを作っておきその透過を考慮しなければならない。なおJAEAはすでにヘリ搭載のガンマカメラでCsの分布マップを作る技術を開発している。

下のマップはガンマ線イメージングの例。ガンマ線イメージングは廃炉作業では放射性排気物質の汚染状態をモニターするのに欠かせない技術である。この技術を使ってデブリ3Dマップを作ることが出発点ではないだろうか。

 

ResizedImage600374-Clean-Up-verification

Sourece: gammadata.se 

遠隔で縦穴を掘るには掘削専門企業と共同で行うことになる。縦穴で水質(水素濃度)調査も行い原子炉建物周辺の環境汚染3Dマップも同時に作成する。環境汚染とデブリ3Dマップを公開することは疑惑を晴らすのに効果があるだろう。

東電は縦穴を掘って地下調査を本格化して、デブリ所在の疑惑を晴らす必要があるのではないだろうか。

 

稼働中の原子炉芯のイメージング手法については論文(Nature Commun. 6 8592 (2015))を参照されたい。下に原理図を示す。

ncomms9592-f1 copy

 

 

 

 

 

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