米国の政権交代でエネルギー政策の潮流に大きな変化が

エネルギー政策とその根幹にある地球温暖化説に対する考え方の違いはオバマ政権からトランプ政権で大きく異なる。オバマ政権は地球温暖化説に肯定的でCO2排出規制に積極的でローレンス・バークレイ国立研究所所長チュー教授をエネルギー省トップにすえて、グリーンエネルギー政策(注1)を強力に推進してきた。しかしトランプ政権はグリーンエネルギー政策からの脱却を宣言した。

 

(注1)2009年の第1期就任演説ではグリーン・ニューデイール政策と呼ばれたていた。ただし再生可能エネルギー促進に加えて(CO2排出規制の立場からか)原子力、天然ガス、クリーンコールをクリーンエネルギーと定義した。第2期政権ではシェールオイル・ガス産業を育成し、国内で利用可能なあらゆるエネルギー資源を活用する全方位エネルギー戦略となった。そのための設備投資やCO2排出規制インセンテイブは財政的な負担を増やしたが、結果的に風力と太陽光の市場が拡大し、雇用とEV販売が増えるなどの副次的効果をもたらした。

 

グリーンエネルギー政策の根幹となるのは太陽光エネルギーを中心とする再生可能エネルギーへの投資とCO2排出ガス規制であるが、トランプ政権はアカデミアが総じて懐疑的あるいは否定的な地球温暖化説を否定し、CO2規制に関心がない。トランプ政権はエネルギー産業支援に積極的だがCO2規制の縛りをなくす方針である。

この大きな政策転換は世界の(特に日本の)エネルギー政策とCO2規制にも大きな影響が及ぶことを意味している。アメリカ国内ではシェールオイル・ガス開発を推進すると同時に、凍結されていたカナダからのパイプライン工事を復活させてエネルギー供給量を増やして自給体制としエネルギー産業の雇用を増やすとみられる。

 

エネルギー産業の足を引っ張ってきたCO2排出規制は撤廃される。パリ協定は脱退し電力部門でのCO2排出引き下げを義務付けたクリーンパワープランの廃止と環境保護庁(EPA)の予算・権限の大幅縮小を予定している。最終的な政策変更の全貌は明らかになっていないが、オバマ政権下で莫大な予算を獲得してきた環境保護関連事業は例外なく縮小されることが確実となった。

CO2規制に税金を払う仕組みはもっとも多くCO2を排出する米国では成立しなくなった。この新たなエネルギー政策の動きに日本はどう対処するのが賢明だろうか。トランプ政権の過激な政策転換のショックがやがて日本に影響するのは時間の問題だが、TPPに続き日本のビジョンが試される機会となるだろう。

 

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