J-PARC 県「ビームライン」10年目 EV電池開発に成果

東海村の大強度陽子加速器施設(J-PARC)に設置された県の中性子実験装置「ビームライン」2本が、2008年12月の稼働から10年目に入った。この間、自動車関連企業によるリチウムイオン電池開発に関する利用が約半数を占めた。各メーカーがしのぎを削る電気自動車(EV)など次世代自動車の開発に欠かせない電池の構造解析を巡り、同村で静かな“競争”が進められている。


東京工業大とトヨタ、高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)のチームが16年3月、EVやハイブリッド車(HV)などへの搭載を見込む「全固体セラミックス電池」の成果を発表した。通常、液体の電解質を使う電池の固体化に成功したという内容で、従来の3倍以上の出力があり、走行距離を延ばす大容量化も見込めるとした。

EVやHVに使われるリチウムイオン電池は液体で事故時に漏れ出す危険があるが、固体化されれば危険性が減る。さらに充電時間の短縮や従来とほぼ変わらない耐久性も判明した。

20年代前半の実用化を目指すとされるこの次世代電池の開発に、県中性子ビームラインが使われた。通常のX線や顕微鏡では見えない分子構造を、中性子を使って見通すことができる。「技術開発のスピードアップに貢献している」(県科学技術振興課)という。

県によると、県ビームラインの採択課題(利用)数は、09年以降20〜50件台で推移。17年度(12月1日現在)までの10年間で359件あった。このうち、リチウムイオン電池関係の利用は167件あり、13年度の68%(19件)を最高として割合は平均46・5%と半数近くを占めている。

J-PARC全体の産業利用数は16年度までに538件あり、このうち県ビームラインは328件と61・0%を占める。産業界にとって重要な存在と言える。

県ビームラインは、電池開発など主に産業利用に使われている材料構造解析装置(iMATERIA)と、タンパク質など有機物の解析に使われる生命物質構造解析装置(iBIX)の2本ある。iBIXでは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究も行われており、国際宇宙ステーションでの創薬研究を後押しすることなども期待されている。

 

茨城新聞クロスアイ

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