ドルの終焉 (Part II) アメリカ失業率:不都合な真実

 1960と1970年代の良き時代をアメリカで過ごした私にとって、国際的なアメリカの政治的、経済的、文化的な影響の低下が加速しているのが目につく。これはアメリカの大国としての終焉プロセスが始まっていることを反映しているのではないか。


 経済指標が発表されるたび、アメリカの経済が回復していると報道される。しかし、政府の債務状況が一向に改善されていないうえ、アメリカ人の貧困化が劇的に進んでいる。アメリカの失業率の数字に隠されている本当の経済状況を明らかにしていきたい。

 

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 アメリカ労働省によると、2014年4月の失業率は6.3%に改善、約5年ぶりの低水準で、経済見通しは明るいとされる。しかし、以下にみるように、アメリカは長期に渡って、失業危機にあり、労働市場の悪化が加速していることを示す。


1. 失業率が6.7%から6.3%に低下した主な理由は、28万の新しい職の増加ではなく、80.6万人が「正式に失業状態」の数から外されたことによる。失業者の定義が1994に変更されてから、求職活動を続けているが失業手当の支給が終了した人、仕事がないため、求職活動をあきらめた人、経済的理由からパートタイム職についた人、求職活動をしているが、経済的理由からなんらかの社会保障を受けている人などは労働力にふくまれないのである。これは、失業者の数を少なくみせるための統計的トリックのようなものである。


労働世代のアメリカ人の内、1億177万人が仕事を持っていない。その内訳は、「正式に失業状態」の975万人と4月に「正式に失業状態」から外された80.6万人を加えた合計9,202万人以上の「労働力に数えられていない」のである。2000年の7,475万人に比べて、36%も増加している。

2. 全世帯の20%は、家族に職を持っている人が一人もいない。
3. 4700万人(6人に1人)はフードスタンプを受けている。
4. 49.2%のアメリカ人は何らかの社会保障を受けている。
5. 労働世代の58.9%しか職を持っていない。2000年から低下傾向。雇用の改善は全く見られない。
6.2013年に創出された求職の88%は低時給パートタイム職である。
7. パートタイム職の4人の1人は貧困以下の生活をしている。
8. 労働者の53%は年間収入が3万ドル以下である。
(アメリカ労働省の統計に基づいて計算されたものである)

 

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 公式発表とは反対に、ウオールストリート・アドバイザーのDavid John Marotta (Marotta Wealth Management)によると、労働者の内、仕事を持たない失業者は37.2%と指摘するが、それより低い20~25%が現実的だと思われる。

 重要な事は、失業率6.2%の数字だけで見えない、失業危機による中流階級の崩壊と1%以外のアメリカ社会の貧困化が加速していることである。中流階級の崩壊は大国としての内側からの崩壊の始まりである。次回は外側からの崩壊すなわち国際政治力における衰退をとりあげる。

 

ドルの終焉(Part I)

コメント   

# 帝国主義者 2014年06月05日 17:29
米国は日本の人口の2倍の2億であった。気がつけば低所得層を受け入れての3億。中産階級の子供が育って世帯主になるはずが、雇用が契約。これではいくら裕福であっても持続は不可能でしょう。

それでも、我が国に比べて現時点の電力消費は5-6倍。国力をエネルギー消費であらわすとそのくらい開きがあることを頭におくべき。

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