ドルの終焉(Part I)

  最近放送されたイギリスBBCのドキュメンタリー『中国経済の巨額債務』の監督であるRobert Pestonが3月17日のBBC News で明らかにした事実が注目を浴びている。それは、ドキュメンタリー制作中、2008年のリーマン・ショック当時の財務長官であったFrank Paulsonとのインタービュで、Paulson長官が金融崩壊が現実化していたことを明かした話である。



 当時、政府支援機関(GSE)である住宅金融会社Fannie Mae (連邦住宅担当金庫)と Freddie Mac(連邦住宅貸し付け担当公社)が破綻の危機に直面していた。両社は米国住宅ローン市場の半分に相当する住宅債務を保有していた。また、両社が発行する債権5兆4千億ドルのうち1兆7千億ドルは海外投資家が保有していた.両社が経営破綻すれば世界の金融システム、ならびに米ドルの信認に悪影響をおよぼす危険性があったが、Paulson 財務長官は当初政府による救済は不要との意見であった。

 リーマン・ショックの時、中国はFannie Mae とFreddie Mac債権の外国最大保有者であったため、Paulson財務長官は中国側と毎日連絡を取り合って債権の保有を続けても安全であることを伝えていた。ここまでの話は知られているが、新しく明らかになったことは、中国がロシアから、両国同時に債権を売却する誘いを受け、そのことを警告としてPaulson財務長官に伝えたことである。実行されていれば、アメリカ経済と金融システムの崩壊は確実に起きたであろう。

 市場の信頼が回復しないことが両社の救済に踏み切った理由であったが、本当は、ロシアと中国に依存しているアメリカが、自国の弱みと両国が持つ脅威を初めてこの時、実感したのである。その後、Paulson財務長官は米国史最大の企業救済策を実行することになる。アメリカ政府は2社を政府管理下へおき、実質的な政府保証を明示、1,880億ドルの公的資金を投入し、金融市場の安定化をはかった。

 決して侮ってはいけないことは、ロシアと中国が世界の基軸通貨であるドルの終焉を決める力を持っている事である。そうして、そのプロセスはすでに始まっている。

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To be continued

 

ドルの終焉 (Part II) アメリカ失業率:不都合な真実

コメント   

# Orphan 2014年04月29日 10:11
確かにドルを暴落させようと思えばいつでもできるようですね。

でも、現実にはその影響が自国にはねかえり打撃を受けるのと、国際的な評判が怖いから、何かのきっかけを待つしかない、¥というわけですか。

でも狂信者は意外と抵抗するかもしれませんよ。だから明日がよければ、結構、このままいくんじゃないかとも思えます。
# Street fighting man 2014年04月29日 10:17
落ちぶれても大国は英国とは違うのではないか。少なくとも健全でなくとも、沈むことはありえない、と国民は 信じているし、国債買っている国も暴落させたくない、から嘘で固めて信用をでっちあげても、持ちこたえよう とする。
# Barak 2014年05月03日 17:30
仮面夫婦というのがありますね。お互い相手が嘘でかためられているのを知りながら、一緒にいると利益があるので別れない。
離婚よりひどい。
日本と米国の関係ってそういうようにみえてしまう。
おっと私はBarakなのでこれ以上のことは国益にならないのでコメントできないのです。
# テキサス親父 2014年05月03日 17:35
ひとつの世代が燃え尽きると国(のイメージ)が滅びる。70年代に燃え尽きた世代が最後のアメリカ人だった なんて。
# ボストン茶屋の主人 2014年05月03日 17:59
キューバ危機のときに何故、ロシアが折れたのか、もし強行手段にでていたら、我々は存在していなかったかも知れない。

大きな(政治的)決断は実は、ささいなこと、直感的なことで決まるらしい。

一説によるとフルシチョフが米国訪問した際に米国農民と打ち解け、結局、民衆を傷つけることはしてはならない、と悟ったとかいう見方もある。

山本五十六も米国で何かあったのかも知れない。たとえば初戦だけ勝たせてくれれば、戦争は長引かない、と約束したとか。

優秀なリーダーなら決断の及ぼす影響を予測できるのでポールソンは馬鹿じゃなかった。

それにしてもインテリ風じゃないんだよね。あれはジムやりすぎ。

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