グラフェンを超える強度の1次元鎖状分子カーバイン

これまでシミュレーションで合成できればグラフェンやダイアモンドを上回る剛性を持つと考えられてきたカーバイン(Carbyne)。2013年にライス大学の研究チームが三重結合炭素ペアが1次元的に繋がった単原子鎖、カーバインを計算機シミューレーションによって、ダイアモンドの40倍の硬度を持つことを示した。

 

カーバインの提案は以外と古く1885年に遡る。アドルフ・バイヤーが炭素一次元鎖の存在を予言して以来過去不安定性のため合成の試みが世界中で行われてきたがこれまで、100個以上の分子鎖の合成に成功していない。一重結合と二重結合でできているポリアセチレンはドーピングによって金属物性を示すが、カーバインの炭素三重結合鎖では物性は鎖の長さに依存するという特性を持つ。下の図のカーバイン分子の結合の意味は一重結合と三重結合の交替である。結合電子間のクーロン反撥は小さいが結合の歪みエネルギーは増大するので合成が困難であることは想像がつく。

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Credit: PATENT EP 2395583 A1(http://www.google.com/patents/EP2395583A1?cl=en)

 

今回、ウイーン大学の研究チームが初めて合成に成功し6,400原子以上の分子鎖の合成法を確立した。二重の円筒状グラフェンの筒中にカーバイン分子を引き込むことによって、長鎖炭素分子を安定化させることができた。

 

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Credit: Nature

 

上の図は状態密度とフォノン分散を計算した結果で、単純な構造なので分子軌道法で詳細な電子構造が計算されている。 

ダイアモンドを上回るカーバインの硬度はグラフェンと比較しても2倍で、世界最大の硬さを持つため、その機械的強度を利用してナノデバイスなどへの応用が期待されている。研究チームによれば分子鎖は安定で電気的特性は炭素鎖の長さに依存して変化するという。

 

ポリアセチレンで一気に炭素鎖に注目が集まったが、その後サッカーボールからカーボンナノチューブそしてグラフェンへと研究対象が変わり、ついに一次元のカーバインの安定な合成法が見つかった。今後の詳細な構造と物性の研究が進展すれば飛躍的に軽くて丈夫なナノ材料が生まれる日も遠くない。

 

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